「利き酒ならぬ利きガソリン」
「利き酒ならぬ利きガソリン」
「利きガソリン」とは、バイク屋の店長Kの造語である。
最近のバイク屋は、利きガソリンができないと、やっていけないという。幾分、胸をはった言い方であった。
事のおおまかなことは、次の通りである。ガソリンの粗悪品がかなり流通していることにある。それで、ガソリンで動く乗り物で、特にバイクはてきめんにその能力が左右されるというのである。
バイクなら小さい50cc。車なら軽トラックである。車両の寿命さえ、影響が出るとK氏は断言する。
「ニオイをかげばわかりますよ」と店長はよった。
それで、赤い携行タンクの脇に私を呼んだのだが、そのタンクがさしずめワインの樽のようにも思えてくる。確かに、私のバイクのタンクから香るものと、そのワインのようなガソリンとは、かなりニオイに差があることはうなずけた。飛ばし屋だから、バイクの性能に関しては、とぎすまされているのに違いない。
ということで、私はハイオクを使うことになった。今しばらく、粗悪ガソリンを使い切ってから、極上のワインのようなガソリンを愛車に飲ませるのだ。


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